つい先日開催された、本事業「国語・算数・理科・デザイン!」の
事前説明会の数日後のこと・・・。
昨年2020年度の運営メンバーの一人でもあった、三重県出身・国際教養大学生の
「海野大空(そら)」くんが、僕の事務所・澁谷デザイン事務所にわざわざ挨拶に来てくれた。
今現在も続くコロナ禍であった昨年の本事業の運営体制において、
三重県出身の大空くんは、毎回オンライン上だけに限られた
運営協力にとどまってしまった、残念な経緯があった。
そんなこともあって、同じ運営メンバーであったのにも関わらず、
僕が彼本人に生で出会えたのは今回の来県のタイミングが初めてのことだった。
オンライン上での初対面を経て、その先に「生」で会えることの喜びを噛み締めた。
そんな、遠く関西から、今回わざわざ秋田の僕のところに挨拶に来てくれた
彼が手に持ってきてくれた、手土産の箱。
写真では伝わり辛いかもしれないけど(ご了承ください・・・)、
その手土産の箱は、もうボコボコにあちこちが凹んだり、印刷がカスれたり、
そのビジュアルは、なかなかに面白く、だらし無い造形となっていた。
関西から、秋田という地に辿り着くまでの「長い時間」と「長い物理的距離」の情報が
目に見えるカタチとして、パッケージデザインにしっかりと染み付いていた。
大空くんは、そんな、いわゆる “お土産の見た目” としては
恥ずかしいような状態になったお土産の箱を、申し訳なさそうな仕草で
「あの、すみません、移動の中でこんなボコボコになってしまったんですが・・・」と
一言添えて、僕に静かに手渡してくれた。
このお土産のパッケージデザインをしたデザイナーは、まさかこんなボコボコな状態になって
手渡される風景など想像もせずに、パソコンの前でデザインしていたのではないかと僕は思う。
そして、そのデザイナーがこの状況を見たら、
もしかしたら「ガッカリ」してしまったのではないかとも思う。(あくまでこれは想像ですが)
でも、僕は、この「ボコボコのお土産」がとてもうれしかった。
大空くんが、遠く関西で僕のことを思って、わざわざお土産さんに行って買ってくれて、
ただでさへ荷物の多い長旅のなかで、さらにお土産を買ったことで手荷物が増えてしまって、
それでも頑張って荷物(お土産)を抱えて、ここ秋田まで足を運んでくれたこと。
そりゃ、そうだよね、そんな過酷な時間と距離を経て、
僕の事務所にまでお土産を届けにきてくれたんだから、そりゃ、お土産の箱もボコボコになるさ。
僕は、キレイで、ピカピカで、オシャレで、品のあるお土産ももちろん嬉しいけど、
その一方で、僕は、こんな「ボコボコのお土産」の方が、もっともっと嬉しかったりする人間だ。
この日、僕は改めて、そんな「ボコボコ」を愛の眼差しを持って、愛でられる
そんな「観察者・デザイナー」でありたいと思い、大空くんと事務所の前で初めてのツーショットを撮った。
本事業『国語・算数・理科・デザイン!』の現場、そして、そこに関わる仲間は
こんな小さくも些細なことを大切に愛で、感動できるメンバーで成り立っている。
大空くん、またお互いに成長して会える時を心待ちにしています。
今日は、ちょっと熱が入って、長くなってしまいましたが、ご愛嬌、ご愛嬌。
どうぞ、この達成感に溢れた大空くんの笑顔に免じて、ご了承ください。
ではでは、国語・算数・理科・デザイン! (投稿:澁谷和之|澁谷デザイン事務所)