「刺青(いれずみ)を入れる」という言葉を聞くと、
強面の人が肌(肩や背中)に龍や虎の絵柄などを彫り込むことをイメージする人が多いと思う。
そんな「刺青を入れる」という言葉の意味を、
自分の営む「お店(ビル)に、看板を付ける行為」に対して使った
秋田市でコーヒー屋さんを営む、ある一人のオーナーがいる。
そう、今日「7月24日」で10周年を迎えた
秋田を代表するコーヒー店「08COFFEE」のオーナー・児玉和也さん。
「澁谷さん、10周年のタイミングで、いよいよこのビルに刺青を入れようと思うんです。
店舗の入り口に『COFFEE』と、ただそれだけ一言。
もう逃げ場のない、覚悟を示す意味で。そのデザインをお願いできますか?」
という、彼のデザインオーダーの意味するところを汲み取った時、
改めて感じた「デザインの責任の重さ」「デザインの怖さ」を、僕は今も忘れない。
僕が普段よく口にする言葉に『デザインは人を殺せる』という、自分を戒めるための言葉がある。
デザインとは、一人の人、一つの家族、一つの地域、一つの町、一つの国、そのそれぞれを
「良くすること」もできるし、「悪くすること」も簡単にできてしまう思考であり、手段である。
つまり、僕がデザインする「08COFFEE」の「COFFEE」という看板一つで、
そう、僕が彫り込む「COFFEE」という「刺青」一つで、
児玉和也という一人の人間の人生を壊すことは、とても簡単なことだということ・・・。
「いよいよこのビルに刺青を入れようと思うんです」という、
その一言に込められた覚悟を、しっかり真正面から受け止められる、
そんな逞しいデザイナーで在りたいと思い、今日の08COFFEEの10周年を大いに祝いたい。
【08COFFEE ホームページ】
ではでは、国語・算数・理科・デザイン! (投稿:澁谷和之|澁谷デザイン事務所)